便秘で便が出にくいと、何とか出そうとしてトイレで長い時間、いきむ(踏ん張る)ことをしてしまいます。それで、スッキリ出せれば良いのですが、出たとしても出し切れていない感じの残便感が残るばかりです。それ以上に危険なんです!
長く踏ん張ることの危険とは
便秘になると、トイレに行ってもすぐに便が出てこないので、どうしても長い時間、いきむ(踏ん張る)ことになります。長く踏ん張ることで次のような危険があります。
・便秘を悪化させる ・痔になる ・血圧が上がる など |
便秘を悪化させる
排便は、腸の働きである蠕動運動によって便が大腸で作られて、肛門まで運ばれた後に排出されます。この腸の働きをコントロールするのが自律神経の副交感神経です。
便秘で便が硬くて出にくいのに、無理矢理に踏ん張って出そうとすると、体に力が入り緊張状態になります。
腸の働きをコントロールする副交感神経はリラックスしてる時に働いてくれるのですが、緊張状態では反対に交感神経が働くため、副交感神経がうまく働かずに、便を排出しようとしません。
また、踏ん張ってもなかなか出ないと、それがイライラにつながってストレスになることでも、副交感神経に乱れが生じて排便のための腸の蠕動運動がスムーズに動かなくなって便秘を悪化させてしまいます。
痔になる
ウンチを出そうと力を入れて踏ん張る(いきむ)時には、肛門の周辺の血管には、たいへん大きな力が加わることになります。
長い時間ふんばり、強い力が加わると肛門の血管がうっ血して痔核(いぼ痔)になったり、硬い便を力づくで出そうとする肛門が切れて裂肛(切れ痔)になったりします。
痔になる原因のほとんどは、便通異常(便秘など)による場合が多いです。排便するために多少は、腹圧をかける必要はありますが、お尻(肛門側)に力を入れて長時間いきむ(踏ん張る)のは大変危険です。
血圧が上がる
排便するために踏ん張っていきむと腹部の中の圧力が高まり、いきむ度合いにもよりますが、血圧が50~70mmHgも上昇する場合があります。人によっては100mmHg以上の上昇するケースもあります。
血圧が急激に上昇すると、脳内の血管にも強い力が加わるために、場合によっては脳の血管が切れて脳内に出血してしまうこともあります。
脳出血や脳梗塞などの脳卒中は、トイレで踏ん張ったために起きるケースも多く、高齢者においては、脳卒中の原因の2割がトイレの踏ん張りをしたためのようです。